私はパンが好きである。日常的にパンを焼いている。私の好みは、フランスパンみたいな味付けされてないパンだ。油脂やドライフルーツを練りこんだパンはたまにしか食べない。
ベトナムは美食の国である、という。その理由は、中国とフランスに支配された経験があるかららしい。
私は2019年早春に1か月ベトナムを旅行した。
旅行者として町散策をしたときに目にしたパンの印象である。高級なパン、例えば途上国によくある、地元の人には高くて買えず、欧米居住者がよく利用する、オーナーが欧米人、のようなパン屋には行ってない。
パンだけを味わって食べる、という文化は無いように見えた。すべてはおかずとセットになっている。だとすれば、パンの進化の方向は、如何におかずと一緒に美味しく食べれるか、になると思う。
つまりパンだけ、またはバターを塗っておいしく食べる方向に進化しないだろう。
故に、私が好むパンはベトナムでは普及しないだろう。
と言うことは、例えばサンドイッチにマッチする美味しいパンがあるだろう。
ベトナムのサンドイッチはバインミーと呼ばれて有名である。大ぶりのコッペパンにいろんなおかずを挟んで食べる。具体的には、味付け肉、野菜、ドレッシングだ。
米食に飽きた時、何度か食べたが、見た目通りの味で、普通に美味しかった。当たり前だが、パンの味は副え物である。
思うに、ベトナムのパンは美味しい、という話が日本で広がっているのは、短期で旅行に行って、”それなりのお金を使っているので、楽しまなきゃ損でしょ”、というマインドがまずあって、そのうえで、憧れのバインミーを食べて、”やっぱ、めっちゃ美味しいね”、と言うことになっているのだと思う。
冷静にパン自体の味を試す環境にない。もし数か月ベトナムに滞在すれば、日本のパンと同じ食べ方をして味を比べようとするだろう。