imakokoparadise’s diary

科学的エビデンスを最重視はしません。 エビデンスがなくとも論理的に適当であればそれを正しいと仮定して進む。私の目的は、得た結論を人生に適用して人生をより良くすること。エビデンスがないからと言って止まってられない。 目的は、皆の不安を無くすこと。

エッセイ タイの友人 2024年4月21日

私には1990年に知り合ったジョフというタイ人の友達がいる。タイの農家でホームステイをしてみたい、と思い、偶然知り合った農家の息子だ。私とほぼ同じ年である。

 

初めて滞在した時は1ヶ月ほどいたと思う。家族同然に扱ってくれた。東北タイ(イサーン)の小さな田んぼを所有する自作農で貧しい農家だ。ジョフと毎日一緒に行動した。同じものを食べ、同じ板間で寝た。食事は毎日ほぼ同じメニューで、飲み物は水しかなかった。村に電気が来たのが2~3年前で、電気製品は電灯しかなかった。雷が落ちるとしばしば停電し、数年前まで活躍していた灯油ランプを灯した。

 

粗末な高床式家屋を一歩外に出ると、あちこちの家の中から挨拶の声が掛かった。日中は近所の家の床下で涼みながら、おばちゃんや子供たちと何時間でもお喋りをした。

 

人との距離が近すぎることにときどき閉口したが、とても快適に過ごした。

 

帰国した後、暫く働かずに家でぶらぶらして過ごした。何となく陰鬱な気分だった。大好きなコーヒーを飲んでも満たされず、手を変え品を変えるつもりで紅茶、緑茶を回し飲んだ。しかしいっこうに満たされなかった。つい数か月前は水だけを飲んで満足していたのに。

 

今の私をジョフが見たらどう思うだろうか、とよく思った。飲みたい物がいくらでも飲めるのに、満足できない私をどう思うだろうか。

ジョフは飲みたくてもインスタントコーヒーでさえ飲めなかった。そんなことを思いもつかなかっただろう。

 

豊かになるとは、一体どういうことなのだろう、と考えるようになった。

ジョフからの視線は常に私をとらえ続けている。

 

追記

 

5年ほど前にジョフを訪ねた。地方都市の中産階級の知り合いの家に、家政婦のようなことをして住み込みで働いていた。お金を貯めたら、また村に戻って、米を育てて暮らす、と言っていた。ジョフは本気で言っていたが、ほぼ不可能だ、ということが私にでも分かった。