2025-01-01から1ヶ月間の記事一覧
未完の「明暗」を別にすれば、漱石最後の作品である。私は後期3部作の中で「彼岸過ぎまで」をまだ読んでいないので、何故この作品が後期3部作に入っていないかは分からない。他の2作「行人」「こころ」は近代的自我が主題であった。本作は直接にはそれを主題…
展開が速く、スリリングで、イベントが山盛りである。会話も軽妙洒脱で知的である。政府の大臣同士の微妙な関係や、省内の職員の上下関係、2国間の大臣同士の関係、そして公邸での大使の日常生活など、全く知らない世界なので、見ていて楽しかった。 あらす…
2023年5月、コロンビア・アマゾンに墜落したセスナに乗って生き残った子供たち4人を40日目に救出するまでのドキュメンタリーである。世界的なニュースになっていたようで、当時の取材映像をふんだんに取り入れて臨場感がある。 よくあるサバイバルものではな…
漱石後期3部作の一つで、主人公である次郎、の兄一郎の苦悩のお話である。 あらすじは省略する。 ・漱石の主題 物語後半の主題は明らかだと思う。 両親が属する江戸時代からの価値観が当たり前だった時代に、西洋からの新しい考え方、科学が流入してきた。知…
スパイものを得意とするイギリスの小説家で、晩年の作品に当たる。1930年生まれ、2020年没。 1963年から1977年の間にスマイリー3部作と呼ばれる有名なスパイ小説を書いた。 国家の為の冷徹なスパイの役割と、倫理や感情を持つ生活者との葛藤を描いてきた著者…
聖域とは土俵のことである。相撲部屋に入門した型破りな新人の猿桜が成長していくお話である。 強さも弱さも含めた猿桜の本気が周囲の人々に感染していく。お互いぞんざいな言葉を使っていても、繋がった感が生まれていく。 型破りな主人公のテーマは多くの…
アメリカとロシア(かつてのソ連)は超大国として20世紀半ば以降、他国への武力行使が公然と認められていた。アメリカのパナマ、アフガニスタン、イラク然り、ソ連のアフガニスタン、そしてロシアになってからの、かつてのソ連邦内のジョージア、ウクライナ…
書かれた時期は1940年代半ばである。が、戦争の話は出てこない。 主人公ホールデンは、世の中の全ての常識に反抗したくなる16歳である。全ての権威に盾つき、通らなければ自分が傷つかない言い訳を見つけて避けて通る。自分が非力なことを重々承知だが、批判…
非常に有名な作品で、漱石後期3部作の一つである。 あらすじは省略する。主な登場人物は、学生である私と、私が湘南で出会った先生、その親友であるK、先生の下宿先の主である未亡人と、同居するその娘(のちの先生の妻)の5人だ。 前半は私がストーリーテラ…
しばらく家でゆっくりできそうなので、ネットフリックスを契約した。 幼馴染みの3人が成長して、それぞれに米軍に入隊し、軍の休暇を利用してのヨーロッパ旅行中のアムステルダム発パリ行きの特急列車に乗車した時、無差別殺人を決行しようとした一人の男を…