imakokoparadise’s diary

科学的エビデンスを最重視はしません。 エビデンスがなくとも論理的に適当であればそれを正しいと仮定して進む。私の目的は、得た結論を人生に適用して人生をより良くすること。エビデンスがないからと言って止まってられない。 目的は、皆の不安を無くすこと。

映画評「ディプロマット」シーズン1と2 2023~2024年 秘密の範囲と当事者の関係 2025年1月27日

展開が速く、スリリングで、イベントが山盛りである。会話も軽妙洒脱で知的である。政府の大臣同士の微妙な関係や、省内の職員の上下関係、2国間の大臣同士の関係、そして公邸での大使の日常生活など、全く知らない世界なので、見ていて楽しかった。

 

あらすじ  ネタバレあり

 

イギリス空母に大きな爆発があり、兵士が数十人死んだ。衛星からの映像を確認すると、イラン沿岸から出た船によって行われたので、イランがまず疑われたが、外交官のプライベートなチャンネルからイランではないことが分かり、次にロシアが疑われる。イギリス世論の沸騰のため、首相は具体的な報復をせざるを得なくなってくる。国際的な犯罪組織であるロシア傭兵部隊の隊長のフランスの居所をロシアから提供される。イギリス特殊部隊を急襲させ、抵抗したという理由で射殺する。ところが空母の爆発はイギリス国会議員が絡んでいることが分かる。もともとは小さな爆発の予定が、計画が狂って大爆発になっていた。空母攻撃を敵対国のせいにして、世論を沸騰させ、イギリス国民の一体感を醸造して、スコットランドの分離独立を阻止しようとしたのだ。ところがイギリスのその国会議員をそそのかしたのが、実はアメリカ副大統領だった。核を搭載した原潜のイギリス唯一の母港がスコットランドにあるため、独立すると寄港を拒否される可能性があり、そうなるとロシア原潜の北大西洋のにらみが効かなくなるのを恐れてのことだった。

 

と言うように盛りだくさんなのである。

 

で、秘密について考えてみた。

 

秘密はことの性質上、秘密を作る人が利益を得る。以下の構図があると思う。

 

赤枠は秘密集合

1は通常型で、情報を教えられなかったが故に損をするタイプで、二者以上で成立する。絶好の釣りポイントを教えないとか、仲間外れにするとか。

 

2は温情型で、相手に損をさせるのは1と同じだが、仲間も欺くところが1と違う。三者以上で成立し、仲間と秘密を共有すると情報が漏洩する可能性がある場合や、仲間に知らせると気を揉むので知らせる必要が無い場合である。国家が敵国に諜報戦を仕掛けるのがこれに当たる。

2は1の派生タイプである。

 

3はパワハラ型で、仲間の中に被害者がいて、それを外部に対して隠ぺいするタイプである。三者以上で成立し、テレビ会社や芸能会社のなかに被害者がいて、会社内ではそれが公認されているのだけれど、視聴者には秘密にされている場合である。秘密にされている人は損をしないので、多少秘密が漏れても問題にならないことが多い。

秘密にされている外部の人を集合から除外すると、ただ強者が弱者に無理強いしている弱肉強食の構図になる。つまり最も原初的な関係だ。

 

以上が秘密から見た関係のプロトタイプである。

 

「ディプロマット」でこの関係を表現すると、以下のようになる。

 

4は温情型が2段積みになっている。

 

アメリカには被害が全く及ぶ可能性が無く、イギリス、実質的にはイングランドは実際そうなったように被害が出る可能性があった。ほかに損をしたのはスコットランド、さらにはロシアであった。

以上のことから分かるのは、覇権国アメリカは損をする可能性がない。属国のようなイギリスに、イギリスの利益を示して作戦を実行させ、アメリカの利益を確保しようとしたのである。