imakokoparadise’s diary

科学的エビデンスを最重視はしません。 エビデンスがなくとも論理的に適当であればそれを正しいと仮定して進む。私の目的は、得た結論を人生に適用して人生をより良くすること。エビデンスがないからと言って止まってられない。 目的は、皆の不安を無くすこと。

エッセイ サンドイッチの話 2023年8月

何となくおしゃれな名前が付いているが、要は  簡便さを求めた食べ方である。

例えばBLTサンドイッチというのがあるが、ベーコン、レタス、トマトを均等に口に入れる為にフォークやらナイフを使うのが面倒なので、何かに挟んで一緒に食べてしまおう、という発想だと思う。

私は朝食に時々サンドイッチを作って食べるが、具をパンに挟んでそっと手で持ち上げて食べる瞬間、本当にふざけた食べ方だな、と思ってしまう。

 

起源を調べると、1700年代にフランスで生まれたらしい。当時はバタールなどを薄切りにして具を挟んだか、バターロールのような小さなパンに切れ目を入れて挟んだのだろう。

 

しかしそんな食べ方はトルコや中東ではずっと前からやっていたはずである。エジプトが有名だが、中東にはピタパンというのがある。薄い円盤型の生地に火を入れると中が中空に膨らむので、そこに具を入れて食べる。

エジプト ルクソール

 

トルコにはラワシュという無発酵の薄いパンがあり、具をそこにのせてグルグル巻いて食べる。オスマン帝国の版土の拡大とともに広がったようで、名前は違えど中央アジアからギリシャブルガリアあたりまである。

トルコ イスタンブル こんな写真しかなかった めったに食べなかった

 

そのようなことは当時のフランス人もとうに知っていただろう。ただフランスパンを使ったところが目新しかったのだと思う。もちろん上品な貴族が”発見”したことも。

 

さてサンドイッチにはマスタードを塗る。油脂の多い具材では酸味が特に必要だ。出来ればビネガーを振り掛けたいところだが、液体なのでこぼれてしまう。そこで利用されたのがマスタードやピクルスだ。固体に酸味をつけてこぼれないようにする。良い発想である。

 

これと同じ発想が焼き菓子にもある。菓子に洋酒の香りをつけたいのだが、生地に洋酒を入れても、焼くと香りが飛んでしまう。そこでドライフルーツを洋酒に漬け込んでおいて、生地に混ぜる。もちろん焼くと多少香りが飛ぶが、香りを楽しめる程度には残る。またはシュトーレンのように焼いてからラム酒を振り掛けるという身も蓋もない方法もあるが。

 

パンは挟むためにあるが、食感がパサついている。それを緩和するために水分の多い食材が必要である。出来れば牛乳あたりを掛ければいいのだろうが、やはり液体なのでこぼれてしまう。ここでは何か水分の多い化合物を発明する必要が無かったようだ。トマトやキュウリの出番である。トマトは味の主張が弱く、かつ水分量が多いのでサンドイッチに合っていると思う。

 

さて具は何が良いのだろう。私はサンドイッチを食べるとき、以下のものを用意する。

キュウリ、トマト、チーズ、ハム、卵ペースト、マスタードペースト。

はっきりしているのは、欲張って全ての具材を挟んでしまうと、味がぼやけてしまって美味しくなくなる。

いろいろ試して思うのだけれど、BLTはよくできた選択だと思う。これもまた身も蓋もない話だが、分厚く切ったチーズだけ挟んでもかなり美味しい。まぁ、チーズを食べているようなものだから当たり前なのだが。

 

追記

 

2010年ごろにロンドンに1週間ほど旅行したことがある。コンビニやスーパーでサンドイッチの棚を見ると、全粒粉を使ったパンが半分ほどを占めていた。日本では未だに全粒粉パンを使ったサンドイッチはほとんど見かけないが、彼の地では、肥満が日本より切実な問題なのだろう。

ベーコンをカリカリに焼いて油を落とす、という発想も日本にはなじみにくい。私の感覚で言えば、油こそ美味しいでしょ、なのだが。