当たり前だけれど、これは私のエッセイ観である。
エッセイとは、著者のアハ体験である。あれっ、という気付きを書いている。自分にとって目新しいものだから、人に伝えたいのである。
もともと人には固有のものの見方がある。独特の見方で世界を見ている。
人は目の前の物理現象をそのまま認識することが出来ない。感覚器官を経て、脳で再構成されて認識する。脳には過去の経験の記憶が満載されている。故に再構成するときに、もろにその記憶に影響を受けてしまう。だから人は固有のものの見方をしてしまう。
その固有のものの見方に絡めて、アハ体験を書くから、その固有の見方も含めて読者が面白がって読むのだと思う。
面白いエッセイは多くの人が読んでくれるから、力量のある書き手はついつい書いてしまうが、書き手にとっては、アハ体験を書いたものであり、目新しいから人に伝えたいのであり、結局それは承認欲求を満たすための行為なのだと思う。