imakokoparadise’s diary

科学的エビデンスを最重視はしません。 エビデンスがなくとも論理的に適当であればそれを正しいと仮定して進む。私の目的は、得た結論を人生に適用して人生をより良くすること。エビデンスがないからと言って止まってられない。 目的は、皆の不安を無くすこと。

エッセイ 「・・・的」の使い方 2023年10月

「的」については多くの人が書いていると思う。1990年代に作家の井上ひさし氏が書いていたのを私は覚えている。

 

特に新しい内容ではないが、文章を書くときにいつも気になっているので、書いてみたい。

 

「的」の使い方

 

1 所有・所属

・国家的観点、は国家の観点という意味で、所有を表している。日本語の「の」は所有格だと教えられる。私の家、のように。

・私的な話  は所属の意味が強い。私に属する話、だ。

 

概念から見れば以上だが、文法から見れば、形容詞として働いていると思う。国家を形容詞に変えて観点にかける。私を形容詞に変えて話にかける。名詞に「的」をつけて形容詞として使う。

 

2 周辺を含ませる

・名詞的に使う  は厳密に名詞としてではなく、まるで名詞のように使う、という意味だ。

・戦後的な考え  は厳密に戦後に限定した考えではないが、主に戦後に流行している考え、という意味だ。

 

以上2つの使い方があるのだが、2も形容詞として働くので、2は1を兼ねることが出来る。

 

例えば、動的描写  は、字面だけを見ると、動いている物の描写、だが、更に、実は止まっているのだがまるで動いているような描写、ともとれる。゛動く〝の意味の範囲が不明瞭になっている。

 

この、周辺を含ませる「的」の使い方が、文章を書くとき、ある事実や概念に自信の無いときに非常に便利に使えるのだ。取り合えず「的」をつけて置けば言い逃れできるだろう、何となくみんなが納得してくれるだろう、と。事実を調べるのは面倒くさい、ボカシてしまえ、と。つまり事実ではなく、雰囲気を漂わせられる。昔の言い方をすれば、汗はかいてないくせに、しっかり収穫だけはしているのである。

故についつい安易に使いたくなる。が、使えば使うほどに概念の意味がボケてしまうので、文章全体としてあいまいな内容になってしまう。

 

追記

 

◎ 利己的な奴 という使い方があるが、利己であることをぼかす必要は無いので、利己な奴、で良いと思う。利己的な遺伝子、の「的」は、ぼかしているのではなく、ただ形容詞として使っている。

 

◎ 「的」の中国語での使い方が気になったので調べてみると、2の意味は書かれていない。

例えば

https://chstudy.net/basic-grammar10/

こちらは所有・所属と形容詞の使い方が書いてある。

 

さらに細かく書かれているのが

https://www.1chinese.com/ala/10066/

こちらは日本語にはない用法、動詞や形容詞などに「的」をつけて名詞にする用法が書いてあるが、ぼかす意味は書かれていない。

 

日本語の意味を調べると

https://www.weblio.jp/content/%E7%9A%84

4の意味が、ような、でぼかす意味になっている。

 

余談

 

英語の「of」は違った意味で紛らわしい。

one of them のofは、その中の一部、を意味している。

しかしofには

two of you (あなたたち二人)のようにイコールの関係でつなぐ意味もある。

つまりおおよその文脈が分かっていなければ、あるofが一部を意味しているのか、イコールなのか判断できない。