皆もう忘れているかもしれないが、2013年7月にエジプトでクーデターがあった。
2010年チュニジアから始まった「アラブの春」はエジプトにも波及し2011年2月には、1981年から30年続いたムバラク政権が崩壊、選挙でモルシ政権が2012年6月に誕生した。
その後モルシ政権は2013年7月に軍部のクーデターによって崩壊した。モルシの出身母体はイスラム同胞団が支持基盤の「自由と公正党」である。
さて、話題はガザである。人口220万人程が閉じ込められている。周囲はイスラエルとエジプトと地中海で囲まれている。ガザのパレスチナ人を紛争当事者のイスラエルが通行止めにするのは当然だろう。今回の紛争以前からもそうであった。
それに倣うようにアラブ人仲間のエジプトも通行止めにしている。人を外に出さないどころか、最初は援助物資の搬入さえ認めなかった。いったい誰に気を遣っているのか、不可解である。
今回最初の攻撃を仕掛けたハマスは、もともとエジプトのムスリム同胞団のパレスチナ支部から育った団体である。
ムスリム同胞団はムバラク政権時代、政党活動を禁止されていた。「アラブの春」で政権崩壊後に解禁された後、選挙でムスリム同胞団が第一党になりモルシ政権が樹立されたが、2013年のクーデターで再び禁止されている。
もし今エジプトの大統領と与党が相変らずムスリム同胞団関係者であったら、状況は全く違っていただろう。これほどイスラエルに協力的な姿勢を取らなかったはずである。
以上のことを考えると、モルシ大統領も、ムスリム同胞団が支持基盤の「自由と公正党」も、潰されるべくして潰されたのだと思う。イスラエルの、ひいてはアメリカの許容の範囲を遥かに超えていたのだ。
2013年のクーデターの時、それが起こって然るべきのあれこれの理由が語られたが、本当の理由はこれだったのだと思う。