西ヨーロッパではなぜパンが主食にならないのか または主食とパンと米

主食とはお腹を満たすために、おかずと一緒に咀嚼する固形物と定義する。
米は主食になり得るし、実際ほとんどの米食地域で主食になっている。 伝統的な米食文化地域では、米はすべて主食になっている。 主食になっている米料理の特徴は塩味が付いていないことだ。 塩を感じるほどの味付けをしていないというのは全ての主食に当てはまる。

では小麦はどうか。 パンについて言えば過半の地域で主食になっている。 その特徴は無発酵・半発酵であること。インドのナン・パラータ(円盤型パン)、中近東・北アフリカピタパン・円盤型パン。

地中海ヨーロッパや西ヨーロッパで食べられている発酵パンはなぜ主食にならないのか。 またはならなかったのか。
人々が貧しかった頃は価格の安い穀類を主食にしていたに違いない。 ヨーロッパは15世紀末から世界の富が流入し始めたので、一部の人たちではあるが、食文化を生み出すには十分な数の人たちが、豊かな食事を取れるようになった 。結果、現在の世界の豊かな人たちの間で進行していること、つまりおかずがメインの食事になっていった。逆に言うと主食の役割が小さくなっていったのだと思う。おかずが食事の中心になり、パンは添え物になった。
そもそも主食にするのであれば、パンを発酵させなかっただろう。 わざわざ手間をかけてパンのかさを高める必要はなかった。 主食の座を降りたからこそふかふかのパン、それだけで美味しいパンが求められたのだと思う。

味の付いてない主食の食べ方の特徴はおかずと混ぜ食いすることだ。 例えば米について言えば、おかずの塩辛さに応じてご飯の食べる量を調節する。 貧しい人たちはおかずにたくさんの塩を入れてたくさんのご飯を食べた。 豊かな人達は味の薄いおかずを作ってご飯をあまり食べない。 この進化した形がヨーロッパでのおかずと発酵パンの関係だと思う。

以下は体験的な理由付け。

中南米や中東やトルコでも米料理はあるが、ピラフのように味付けされている。 つまりそれだけでも食べれるのでおかずと同じ扱いだ。

中南米ではトウモロコシで作った塩味のしない無発酵のパンのトルティーヤが主食になっている。 メキシコなどの都市部では発酵パンも食べられるが、味付けご飯の方がより日常的だ 。
インドは大まかに南部は米主食で北部は無発酵のチャパティが主食になっている。 北部にはナンという発酵パンがあるが食べる人は非常に少ない。贅沢品という位置づけだ。北部ではパラータと言うチャパティより分厚い無発酵パンが主流である。しかし発酵パンのナンを食べる時はナンを主食として扱っている。
中近東でも無発酵のチャパティのようなパンを主食としている。 米も食べるが味付けご飯になっている。トルコは発酵パンを主食として食べている。 食堂に行けば食べ放題の発酵パンがかごに盛られている。 米も日常的に食べているが味のついたおかず扱いである。
ロッコでは必ず半発酵パンがおかずに付いてきて主食の扱いだ。
東アフリカでも味付けご飯と共に半発酵パンを食べるところは多い。 他にも穀類を粉にして湯で捏ねた無塩の塊を主食にしているところも多い。
ヨーロッパでは発酵パンが大量に消費されているが主食に位置づけされていない。
寒い地域ではじゃがいもが食べられているがマッシュポテトにすると味付けがされているので主食になリにくい。茹でたものは主食になる。 他に半発酵パンといってよいライ麦パンが食べられている。主食として食べられているようだ。