遺伝子によって方向づけられた人の行動は、先史時代に適応した行動になっている。今の時代に適応した行動に書き換えるには、遺伝子のスピードは遅すぎる。全く追いつかない。全く見知らぬ人が隣人であることを想定していないし、ネット時代の不特定多数の人とつながる設定にもなっていない。相変わらず先史時代の行動をとるように方向づけられている。そこに齟齬が生じる。見知らぬ隣人を仲間だと思って接した結果、傷つけられたり、ネットで不特定多数に噂話をしていつまでも盛り上がったり、騙されたり。
宗教的な教えや、人が感動する名言は、遺伝子が現状に追いつかないギャップを埋め合わせる役割を果たしていると思う。
古い環境に適応した遺伝子由来の行動によって傷ついた時、または傷つかないように、今の環境に適応した指針や、傷ついた時の乗り越えかたを提供している。だから人の心に響くのだと思う。