imakokoparadise’s diary

科学的エビデンスを最重視はしません。 エビデンスがなくとも論理的に適当であればそれを正しいと仮定して進む。私の目的は、得た結論を人生に適用して人生をより良くすること。エビデンスがないからと言って止まってられない。 目的は、皆の不安を無くすこと。

エッセイ ランとサボテン 2024年4月9日

ランの仲間に着生ランと呼ばれる生育環境から見た分類がある。樹木の幹に着生して生育するランである。有名どころでは、カトレアやコチョウランだ。

これらのランは何かの理由で土壌から追い出された。で、樹木に着生する生き方に適応した。

着生ランの生育環境の特徴は、貧水分と富湿度である。幹に着生しているので、雨が降ってもすぐに流れ落ちてしまう。帯水することが出来ない。熱帯、亜熱帯によく分布し、湿度の高い場所に多い。アンデス山脈東側斜面の雲霧林はランで有名である。他の条件として日陰で生育する種が多い。

根の形状も空気中の水分を吸収できるように、針金状の根の周りをスポンジ状の組織が分厚く包んでいる。

スポンジ状物質に包まれた根

 

サボテンはよく知られているように、乾燥気候に適応した植物である。その生育環境の特徴は、貧水分と貧湿度だ。土壌の水分も少なく、空気中の水分も少ない。他の条件として直射日光下で生育する種が多い。

僅かな降雨時により多くの水分を確保できるように、植物本体に帯水できるように進化した。

植物本体に水分を保存

 

ランとサボテンを比べてみると、共に根から水を吸収しにくい環境で生育し、かたや空気中の水分が多ければ、ランのような形状、つまり植物自体に水分をためようとはせず、空気中の水分を取り入れるのに有利な形状、スポンジ状の根を発達させ、空気中の水分が少なければサボテンのような形状、つまり植物自体に水分をためて乾燥に耐えようとする。

 

ランとサボテンは全く別の植物と思っていたが、貧水分という集合で括ると、両者の差が浮き上がって見える。



追記

 

空気中の水分をより多く吸収したければ、ひだをつけるなど、表面積を大きくすればよいのだが、それは同時に植物が持つ水分の蒸発量も大きくしてしまうので、良い解決策ではない。吸収しやすいが蒸発しにくい構造の難問にランが出した答えがスポンジ状物質で根を包むことだった。

 

直射日光に晒されるサボテンは可能な限り表面積を小さくして水分蒸発量を抑えたい。しかし体内に水分をより多く保存するためには蛇腹構造をより発達させたい。その妥協点がそれぞれの種の蛇腹の形態だったのである。