障害者のヘルパーと労働組合

障害者自立生活運動という障害者主体の運動がある。 両親に介護されるのではなく、地域に住んでヘルパーを利用しながら自立した生活を送ろうという運動だ。
運動の経緯から、障害者たち自らが集まってヘルパー派遣事業を NPO 法人として立ち上げていることがよくある。 当然だが理事長は障害者、役員も過半数が障害者だ。

事業所従業員や派遣されるヘルパー労働者が、待遇の改善を求めて労働運動する、労働組合を立ち上げることは不思議ではない。

しかしここに障害者とヘルパーならではの問題があると思う。

役員は障害者である。 事業所の方針を決める重要な話し合いは役員同士でする。 身体障害者であればヘルパーが常にそばにいる。 つまりヘルパーが重要な話の内容を聞いてしまう可能性があるのだ。
もしそのヘルパーが組合活動者だったらどうだろう。 もちろんヘルパー労働時に聞き得た情報は守秘義務が生じる。 だが一人の人間の中で、本来の自分の主張と、聞いてしまった大切な情報を分けて考えることができるだろうか。
さらに障害者とヘルパーは信頼関係が大切だと思うが、役員障害者は組合ヘルパーを安心して信じることができるだろうか。生きていく上で必須のヘルパーを信じられない。そういう両者の関係は不幸であると思う。

以上の事を考えると、役員障害者のヘルパーは労働組合に加入してその恩恵をもちろん被っていいのだけれど、組合の方針を決めるような場には出席しない方が良いと思う。