imakokoparadise’s diary

科学的エビデンスを最重視はしません。 エビデンスがなくとも論理的に適当であればそれを正しいと仮定して進む。私の目的は、得た結論を人生に適用して人生をより良くすること。エビデンスがないからと言って止まってられない。 目的は、皆の不安を無くすこと。

旅行者の知らないマレーシア2

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クアラルンプール周辺ではインドレストランをよく見かける。もちろんインド系マレーシア人の経営だ。インド系のほとんどはインド南部出身のタミル人である。元々はイギリス植民地時代に、ゴムプランテーションの労働者として移民してきた人たちだ。タミル人の故郷、タミルナドの現代の宗教比率は、ヒンズー教88パーセント、イスラム教とキリスト教、各6パーセントだ。つまり移民してきたタミル人もそのほとんどがヒンズー教徒だっただろう。

で、よく見かけるインドレストランなのだけど、牛肉カレーが並んでいるのである。ヒンズー教では牛は神聖な生き物である。で、店内を見渡してみると、レジの後ろの壁にはローマ字でもなく(つまりマレーシア語)、タミル文字でもなく、アラビア文字の額が掛かっている。

実は彼らはイスラム教徒なのである。インド系マレーシア人の4パーセントがイスラム教徒で、彼らがインドレストランを経営しているのだ。ママック協会と言う業界団体を作って自らの利益を図っている。

彼らのレストランの売りは人口の50パーセントを占めるマレー人が利用できることだ。同じイスラム教徒なので豚肉の心配をする必要がないから。金曜日の昼過ぎにインドレストランで昼食を食べていたら、モスクで礼拝を終えた正装をしたマレー人たちがわらわらと入ってきたことがある。

それに対し中華の屋台やレストランは当然豚肉を扱っている。トリや牛にしてもハラルかどうか分からない。豚肉を切った同じまな板で他の食材も調理してるでしょう。これではイスラム教徒は入れない。

インドレストランに中国系が食事に来るのはごく当たり前に見かけるが、中華の飯屋にインド人を見かけることはあまりない。インド系の過半を占めるヒンズー教徒のネックは牛肉だけど、中華屋台だと屋台によって扱う食材が別れているので牛肉を避けられる。中華惣菜が並んで自分で取っていくシステムのレストランでも牛肉を避けられる。にもかかわらずほとんどインド人を見ないのは、箸が使えないと言う理由ではなく(匙とフォークが用意されていて、ほとんどの中国人もそれを使っている)、どうせお金を落とすならインド人の店で使おう、と言う同胞意識が働いてる気がする。

中国人の多くはインド人をバカにしている。近距離バスに乗ってた時、座ってたインド人が降りたあと、ほんとに汚そうに座席を手で払ってから座った女子高生を見た。田舎のインドレストランで、中国系の中学生ぐらいの子供たちが、注文を取りに来たインド人(インド系か外国人労働者かは不明)に半ばからかいながら注文しているのを何度も見かけた。

当然インド人は中国人に反発を感じているだろう。

しばしば見かけることだけれど、共感不可能な勢力を国内に存在、維持させるのは政治の敗北でしょ。長期的に見ればどれだけ国民が不利益を被るか。

追記  ヒンズー教徒が経営するインドレストランも少数だがもちろん存在する。彼らのメニューにはベジタリアンコースがある。また牛肉のみならず豚肉も扱っていないようだ。つまりトリとヤギと魚。