砂漠と聞いて日本人が思い浮かべるような砂漠は実はそんなに多くない。日本語では砂と水が無いという漢字を当てるが、それが誤解のもとになっていると思う。
実際の多くの砂漠は、もしくは人が接続しやすい砂漠は、石砂漠や岩砂漠、またたとえ砂があっても草が点々と生えていることが多い。
中国語では沙漠と書くようだ。そちらのほうが字義としてはしっくりくる。
日本人がイメージする砂沙漠のでき方は、風が吹いて、また雨が降って砂が低地に溜まった場所である。ただ雨が降らないだけだと、シナイ半島が典型的だが、岩山になる。もちろん岩山の谷底は砂が溜まって小さな細長い砂漠が出来るが。
砂が溜まりやすい周囲の地形と風化する母岩の種類も大切である。砂漠の砂は石英の粒なので、例えば花こう岩など、石英を含んでいることが必須である。。石灰岩や長石では分解して残らないのである。
インドとパキスタンに広がるタール砂漠
初めての砂漠だったので、草が生えていて全く砂漠らしくなくがっかりした。
手前に柵があるのはたぶん駅から写したのだと思う。ずっとこんな景色が広がっていた。
下はシナイ半島の岩山の谷に広がる”砂漠”。直根の根が下に伸びて多年草が生きながらえている。この地形を、wadi(枯れ川)と呼ぶ。
地元の人が、この山奥にISIS(イスラム教徒)が隠れ住んでいて、ここからポートサイードやカイロに出かけてテロを起こすと言っていた。とても人が住めるようには見えなかった。
更に信じられないことだが、このシナイ山の頂上近くに聖カタリナ修道院がある。550年前後の設立で、人が住み続けている世界最古の修道院である。
下はエジプトのアスワン当たりの砂漠。砂利交じりの砂と、砂が風に飛ばされて剥き出しになった地盤があちこちに見えた。手前の濃茶色の帯は道路を作るときに敷かれた砂利。
スーダンでバスの移動中、風紋が出来て、いかにも砂漠らしい風景が広がっていたので写真を撮った。ガラス越しなので偏光している。道路はナイル川の近くを走っている。
下はモロッコでは有名なMerzougaの砂漠。アトラス山脈の南側で、サハラ砂漠の始まりである。ただここは5キロ四方の孤立した砂漠になっていて、地元の人に聞くと、強風がランダムに吹いて、同じ場所に砂がとどまり続けている、と言っていた。ちょっと信じられないが。
英語では砂漠と表現せずに、砂丘と言っていた。まさにそこだけ盛り上がっている。
砂漠では遠近感が無くなる。
追記
気になったので石灰岩に砂漠が出来るか調べてみると、エジプトにある西方砂漠が白砂漠と呼ばれ、石灰地にできているようだ。詳しくは調べられなかったが、写真を見る限り、石英で出来た砂沙漠の中に、石灰岩地がむき出しになってそこだけ白”砂漠”になっているようだ。