続 宝の持ち腐れ

人が作ったものはすべて役割を示す名前がついている。 ドライバーといえばネジを回す役割を担った物だ。 スピーカーといえば電気を使って音を出す役割を担った物だ。

ソーサーはカップを乗せる役割を担ったもので、平らだからと言って目玉焼きは乗せない。
コップは、人が液体を飲むために一時的に液体を保存する役割を担ったものだ。 液体を保存できるからと言ってそれが尿瓶に使えるとは思いつかない。
おしゃれなお店で店員が 、今売れてる作家さんが作ったコップです、と言って尿瓶の形をした物を見せられれば、私たちはそれをコップとして扱うだろう。

しかし物にはいろんな属性がある。 目の前に分厚い本が一冊あるとする。 これの文字に書かれた情報に注目すれば、これは本である。 しかし形に注目すれば踏み台になる。 質量に注目すれば重しになる。 素材に注目すれば燃料になる。

宝の持ち腐れ、でも見たように、バイオリンは美しい音楽を奏でる役割を担った物だ。 私の持っているバイオリンが宝であることに気付くということは、素晴らしい音楽を奏でられることに気づくことだ。 形に注目して行司の軍配に使うことではない。
それは役割名詞の役割を最大限に発揮することだ。 ドライバーやコップや本の役割を最大限に発揮することだ。
しかし繰り返せば、ものには多くの属性がある 。 名づけはものの使いみちを限定する。つまり 宝を持ち腐れする可能性を増大させる。 小さな、おもちゃのようなナイフを缶切りと思えなかったように。

閃くとは他の属性を持っていることに気がつくことだ。 他の集合で括れるようになることだ 。 目の前の一冊の本を、脚立と同じく踏み台と言う集合や、漬物石と同じく重しと言う集合や、ガソリンと同じく燃料と言う集合に括れるようになるということだ。

一つのものやことにどれだけの属性・関係性を見れるか、つまり多くの集合で括れるか、が宝を持ち腐れしないもう一つの方法だと思う