きのうベラクルスの波止場でぼんやり海を見ていたら、ほんまにここってベラクルスなんやろうかって思えてきて、いま自分がほんとにベラクルスに居るのがちょっと信じられなくなった。
ひとつの理由は、日本に居るときにメキシコの歴史の本を読んで、コルテスが築いた最初の植民地として記憶していたし、音の響きが何となく格好良かった。ベラは真実、クルスは十字架と言う意味らしい。ウルトラ兄弟の名前みたいだった。
だから私にとってちょっと特別の場所だった。そこにほんとに居るのか。不思議な気がした。
港の向こう側の埋め立て地の倉庫にveracruzと言う文字が見える。やっぱりここはベラクルスなんだろう。
もうひとつの理由は、時々あることだけど、自分がいま居る所がどこか分からなくなることがあって、メキシコシティでもそう言うことがあった。
看板にも書いてあるし、みんなもそう呼んでいるからここはベラクルスだと思う。きっと誰かが名付けたんだろう。会話をするときにも必要だ。
でも、私にとって大切なのは、私が存在している、ここと言う場所だけなんじゃないか。私にとってはいつもここなんだけど、みんなの呼び方が変わるだけ。
”メキシコの文化って何々って書いてあるけど、どんな感じなんだろう”と思って、メキシコに来たが、私にとっては、ある意味、メキシコの文化なんて無く、私の周りにいる人達との関係があるだけかも知れない。
私は常に同じ所に居て、地面がどんどん移動してくる感じ。パソコンのゲームのように。