職場のおばさんたちが休憩時間に芸能情報で盛り上がっている。始まりはテレビドラマである。そこから芸能人情報に続く。
芸能人の人とナリはもちろん間接情報である。本当のところは分からないし、興味を引くために加工されて流されているだろう。人間関係、特に恋愛関係は、親しい人でさえ本当のところなど分からないが、記者が取材した芸能人のそれがそのまま正しい可能性は低いだろう。
つまり不確かな情報なのだが、あたかも確定した事実のようにして楽しそうに話している。
そして、芸能情報は自分の生活とは全く関わらない。
クソの役にも立たない話で、どうしてそんなに盛り上がれるのだろう、と不思議に思っていた。
横で聞きながらそう思っていたのだけれど、さっきまで揉めていたおばさんたちが楽しそうに話しているのを見て、ああそうか、と思った。
楽しいひと時を過ごすために、誰でも知っているテレビ番組をコミュニケーションのツールとして使っているのだ。
その隣を見ると、おじさんがぼんやり一人で過ごしている。
この勝負?おばさんたちの勝ちだ。
究極的には、人生はこの瞬間が楽しければいいと思う。おばさんたちはそのことをはっきりと自覚してるわけではないだろうが、どのみちここでしばらくの間は顔を突き合わせていなければならないのなら、せめて楽しくこの時間を過ごそう、と言うことなのだと思う。
芸能情報はそれにうってつけのツールだったのである。