imakokoparadise’s diary

科学的エビデンスを最重視はしません。 エビデンスがなくとも論理的に適当であればそれを正しいと仮定して進む。私の目的は、得た結論を人生に適用して人生をより良くすること。エビデンスがないからと言って止まってられない。 目的は、皆の不安を無くすこと。

陰謀論について

ロシアとウクライナの2014年前後の関係を知りたいと思って、すぐに入手できた本、「ロシア  利権闘争の闇」江頭寛 草思社の本を読んでの感想です。

 

その前に陰謀論の定義を、ある未来をごく少数の人だけが高い確率で予測し、それによって他人の運命を左右する大きな出来事を引き起こして利益を得ることが出来る、という考え、とする。

ここでは、高い確度で予測できるのか、を問題にする。

 

12章の「ロシアのウクライナグルジア外交」を読んで思ったことは、いろんな要因が働いていて、どのように政治が動いていくかを予測することは非常に困難だ、という当たり前のことだった。

具体的には、2009年のロシア・ウクライナの結んだ天然ガス協定は高い価格でウクライナが買うというロシア側に有利な内容だった。2010年の新大統領が協定見直しを要求。2013年ロシアが天然ガスの供給を削減。ウクライナEUに接近。ロシアが妥協して、天然ガス価格を値引き。政権が親ロシアに傾く。2014年2月親ロシア政権への市民のデモ激化。ウクライナ大統領ロシアへ脱出。暫定大統領・首相決定。ロシア反発。2月27日クリミアで武装集団が議会ビル選挙。クリミア州の首相を更迭、新首相を選出。3月16日ロシアへの編入を問う住民投票を実施。18日ロシアがクリミア編入を発表。

 

この複雑さはロシアとウクライナの関係にかかわらず、日本と韓国の関係で考えても同じだろう。10年前から現在までの日韓関係を俯瞰すると、ある種必然の連続で、頭の良い人がいれば、予測可能な印象を与えるが、現在から10年後までの日韓関係を予測して、陰謀を仕掛けることは非常に難しいと思う。

 

つまり現実世界は複雑すぎて、陰謀が成立する余地は非常に小さいのだと思う。そこは生物の進化と同じで、過去に向っては進化の理由をさかのぼれるが、未来への進化を予測することは不確定要因が多すぎて不可能なのだ。

現実は必然と偶然が入り混じっている。そして過去を振り返ったときは、必然だけが見えるのであたかも予測できるように感じるが、実際に未来を予測しようとすると、偶然が作用して見通しが立たないのだ。

 

故に、陰謀論は、事実としてほぼ成立しないが、陰謀論が流通すること自体が、政治的意味を持つと思う。つまり一部の人たちに影響を与えると思う。陰謀論を発信する人はそこを狙っているのだろう。

 

もちろん単純な因果関係だけで成り立つような予測、例えばロシアが欧州向けの天然ガスの供給を減らせば、欧州のエネルギー価格が上昇する、は成り立つだろう。しかしこれは「ごく少数」以上の人が予測するので、陰謀論にはなりえない。