人によって価値観はさまざまである。ではその価値観、つまり価値の優先順位はどうやって決まっていくのか。
1 自分に自信がないから、人は自分に価値があると思いたい。
2 容姿や能力は人によってさまざまである。
3 以下具体的に考えていくと、
足の速い人は何に価値を置けば、自分に自信を持ちやすいか。もちろん足の速いことである。
では記憶力のいい人は? もちろん記憶力のいいことである。
容姿の美しい人は? マルチリンガルな人は? 仕事のできる人は? サッカーの上手な人は? 昆虫に詳しい人は? 喧嘩の強い人は? 異性の経験の数の多い人は?
数学が良くできて鈍足の人が、速く走れることに高い価値を置いているのは自己矛盾である。これでは自己肯定感を涵養できない。
歌の上手な人が、それに高い価値を置かないことも自己矛盾である。
4 以上、人は自分の得意なこと、自信のあること、人より秀でていると思っていることに高い価値を置く。自分のことを思い返せば明らかだと思う。
5 つまり、男前は男前に弱い、つまり一目置いてしまい、スポーツのできる人はスポーツのできる人に弱い、つまり一目置いてしまうのだ。
6 さらに言えば、残念なことだが、私たちが得意・自信があるが故に高い価値を置き、故に他者も高い価値を置いているだろうと思っているその価値は、それが得意でない人にとっては、それほど高く評価されていない。