15年ほど前、私にとってユーチューブがまだ歌を聞く道具だった時、アップされた曲に書かれたコメントを時々読んでいた。その時気づいたのが、私から見ると、大した歌にも思えなかった多くの歌のコメントに、素晴らしい曲だ、という評価が書かれていたことだ。一体どういうことだろうと思って、いろいろ読んでいるうちに分かったことは、コメントの書き手が10代後半によく聴いていた歌だった、ということだった。
自分を振り返ってみると、私はどんな歌をよく口ずさむだろう。また口ずさんでいただろう、と思い返せば、吉田拓郎や森田童子など、やはり10代後半によく聴いた歌なのだ。
ではなぜ10代後半に聞いた歌が、人生の懐メロになるのだろう。
思いつくのは、一番多感な時なので、多感な時の出来事やそのビビドな感情が、良く聴いていた曲に貼り付けられて記憶された、ということだ。出来事や感情が、歌詞のマッチする一部に添付され、折に触れてその感情が刺激されると、添付された歌が思い出される。そういう構造になっていると思う。