アメリカンハードボイルドと現実感覚

現実と肉体との接続感覚が弱まっている

今ここで欲しい情報が手に入るようになってきた。音楽や映画や知識。これらはどれも手で触れられない。最近これらへの接続時間が長くなった。
以前も目の前にないものが存在した。 映画やテレビの中のアイドルやスター。さらに前には噂話で人々の頭の中に存在した。
ネットゲームはもう一つの世界に没頭させる。一昔前は小説がそうだった 。しかし小説を一日中読むのは難しかった。
現代は、現実世界から切り離された抽象空間にいる時間が長くなった。

人は常に空想で現実の欠損感を補おうとし、または現実の欲望を補おうとした。 今後もこの欲求は続き、技術もこれに沿って進展して行くだろう。

アメリカンハードボイルドの特徴は自分の感覚を通した実感しか信用しないことだと思う。 殴り合い、 酒 、タバコ 、薬、 対面でのハッタリの効いた騙し合い、 拳銃 、ショットガン、 荒い運転、 痛み、 酩酊 。
さらに言えば自分の力で自分の人生を切り開いていこうという覚悟がある。

20世紀にハードボイルドが日本で求められた理由は、男女平等思想のもと失われていく男的な価値への郷愁だったと思うが、21世紀の理由は、リアリティからバーチャルへと感覚が移りゆく日常生活に対する違和感だと思う。